今から8年前、2011年3月11日に起きた東日本大震災により、私たちの日常は大きく変化しました。そして災害時の不安定な状況の下、環境に適応できず苦しんだ子どもたちと家族がいました。
外が薄暗くなると就寝までの間に何度も繰り返し「今日も暗いままなの?」とたずね、停電という環境変化を何日も受け入れられなかった子ども、味覚・嗅覚過敏の中で選んだ数少ない食べられる物が購入できなくなりパニックを起こした子ども、避難所に行きたくとも子どもが避難所に適応できるのかが不安で断念した家族、そして避難所に行ったものの受け入れを拒否された家族。
そのころはまだ“発達障がい”という言葉が一般にはあまり浸透しておらず、多くの人に迷惑とみなされたり、孤立化したり、被災生活は大変困難なものでした。
発達に心配のある子どもにとって事前の『体験』は、大きな役割を果たします。成功体験は自信を与えます。たとえ失敗したとしてもそのつまずきをもとに対策を練る良い機会となります。
それは災害においても同様です。事前に防災体験学習を積むことで、あの時のような不要の苦しみはきっと減ることでしょう。
そのことを踏まえて私たちは昨年、発達に心配のある子どもたちと家族のために防災体験学習を行いました。
参加者の発達段階は様々でしたが、子どもたちが安心した環境で体験を楽しみながら自信をつけ、自分の課題を見つけだす様子を目の当たりにすることができました。また1回だけの開催でしたのでわずかではありましたが、自分を守るための力(自助力)をつけ、成長させた様子も感じとることができました。
例えば、保存の形状やメーカーが違う非常用白米を食べ比べた際には、食べられる一つを見つけ出せた子がいたのに対し、どれも食べられなかった子もいました。食べられるものを発見できた子にとってはこの体験が被災した際の自信と安心につながるでしょうし、どの非常用白米であっても食べられないことが確認できた子にとっては代替食を検討するという課題が見つけられた、という具合にです。
以上のようなことから、発達に心配のある子どもたちは防災体験学習を行うことで自助力を向上させることが可能であり、それは継続的に行うことでより効果が上がると考えられます。
自助力の向上は、各所で度々行われている地域防災訓練に参加することでも可能ですが、残念ながら発達に心配のある子どもたちと家族の多くは、その場に参加するだけの力が足らずに参加できていないのが現状です。
このことからもまずは、発達に心配のある子どもたちと家族が、地域や専門的な人・団体に力を借り理解してもらいながら独自の防災体験学習を積み重ねることが必要で、それにより各地域の防災活動に参加できるだけの自助力をつけることができれば、地域の共助力の底上げを図ることができる、そしてそれに寄り添うことが私たちにできる減災活動だと考えています。
今年度アコモンでは、盛岡市の子ども・子育て支援事業に採択いただき防災体験学習を2回開催することになりました。
第1回目は6月2日(日)『災害時の防災ハックを学ぼう2019~自衛隊が先生編~』と称し、自衛隊の方にライフハックを教わったり、ポリ袋での炊飯にチャレンジします。いざという時に備え、この機会をぜひお役立てください。
詳細は、ホームページから。
http://accommon.jp/bousai.html