就学時健診と聞くと思い出すことがあります。

娘が就学する時に、①支援学校②支援級③普通級のどこが娘にとって安心して楽しく学べる場所なのだろうって悩んでいたことを…。

 

 

娘は3歳の時にASD・ADHD・発達遅滞と診断されました。診断前からアコモンには相談していましたが、さらに娘を療育施設に通わせ、作業療法、ポーテージ療育、ペアトレ、〇〇式など、良いと言われるものを色々試してきました。

でも、「落ち着きのない子が授業中、ずっと着座できるのか?」「パニックになったらどうしよう?」「自傷行為を学校で起こした場合、先生は対応してくれるのか?」と、不安を拭えずにいました。

 

自治体によるかもしれませんが、私の住む地域では5月頃「教育相談」が行われます。市町村の教育委員会で、特性のある子供を持つ保護者が、相談員と就学に向けての話し合いをするものです。

その場で相談員に支援学校をすすめられた私は、「娘を守る」と言いながら自身の心を守るべく、最初のうちは支援学校をメインで考えていました。

仲の良いママ友に相談した時に『某支援学校で就学相談が行われている』という情報を聞き、娘と一緒に通ったりもしました。初めて聞く言葉や知らなかった世界…知れば知るほど、増えていく情報に振り回されそうな自分がいました。

 

そんな中、就学について相談していた主治医から、「聴覚過敏があるから、少人数の支援級を選んでみては?」という想定外のアドバイスをもらいました。

それを聞いた私は、「それは高望みではないですか?」とさらに混乱してしまいました。

というのも、相談当初は相談員に支援学校だけをすすめられていて、支援級へ進む方向は考えていなかったからです。親の自己肯定感も下がっていたのかもしれません。そして、娘の可能性も信じてあげられていませんでした。

ところが、ここで転機が訪れました。

教育委員会で特別支援教育コーディネーターに相談することができたのです。そのコーディネーターから「支援学校は行きたいと思ったらいつでも行けるから、娘さんを信じてあげて」と背中を押していただきました。

支援学校をすすめていた相談員は、入学後のことは全く知らずに就学先のアドバイスをしていた事も知って、靄が晴れるように吹っ切れたのでした。

 

それから主人や義理の両親とも相談し、最寄りのかかりつけ医(小児科)、療育施設の先生、作業療法士の意見も聞きながら、就学先を考え続けました。

それでも最初は「本当に大丈夫なのかな?支援級で娘は学べるのかな?」と、不安が心の80%を占めていました。

しかし、ある事がきっかけで「娘は支援級でも通えるのではないかと」思えるようになりました。

それは地元の小学校へ見学に行った何度目かの時のことでした。担任や、学友になるであろう子供たちに、娘は物怖じすることなく積極的に話しかけていました。そんな娘の姿を通して「娘の力を信じてみていいかもしれない」「やらないで後悔するよりやって後悔する方がいいのでは?」と私も考え方が変わりました。

 

またある日のこと、教育委員会に呼ばれていくと、県から出向している課長に相談することができました。課長は話を聞いてくれた上で「お子さんの将来を決めるのは現段階では親御さんですから、こっちの声に従わなくてもいいのですよ。」と言ってくれました。

正直、まさか教育委員会の方が保護者目線で話をしてくれると思っていなかったので驚いたものです。

それだけではなく、「まだ先の話だけれど、支援級からでも高校受験が出来るし、高校入試で配慮を受けられるはずです。」と、今まで教えてもらえなかったことも詳しく話してくれました。

アドバイスをもらえたおかげで自分が作っていた壁を壊すこともでき、就学前から、困った時には小学校や教育委員会にも相談し、連携を深めようと思えるようになりました。

 

支援級の見学を重ねるうち、発語と語彙力が伸びた娘自身が「地元の学校に通いたい」と言うようになりました。そんな娘がさらに楽しく学べるように、アコモンに助けてもらいながら要望書を作成し、教育委員会に提出しました。

先輩ママの中には「どうせ学校は何もしてくれない」と言う人もいましたが、いざお願いしてみると快諾してもらえました。

支援級の先生も「入学式前に予行練習をしましょう」「着替えはパーテーションをつけましょう(女児一人なので)」と、熱心に応えてくれました。

 

現在は、医療、相談員、SSW(スクールソーシャルワーカー)、放課後デイの先生、担任、保護者とで支援会議をして娘の支援の連携を図っています。

それぞれが出すアセスメントシートを基に話し合いをしながら、困りごとに対して同じ支援をすることで娘を混乱させないようにしています。

コロナ禍のため支援会議自体は難しくなっていますが、娘を支える枠組みができていることが有難い限りです。

 

 

親の力だけではここまでできませんでした。でも、助けを求めたことで、手助けの策を多方面の方が提案してくれました。

私の場合は①親の会のアコモンに繋がり、②医療機関の先生に相談をし、③通わせたい、本人が行ってみたい学校を見学することで、前に進むことができました。

そこで繋がった人がくれた言葉が私の心に留まって、私自身の答え(結論)に結びつきました。

いろんな相談機関を活用し、「やってよかった。やっと入学式が来た!」と親子で喜べる春を迎えられることを願っています。

 

 

※アコモンでは勉強会やワークショップを重ねて、学校との連携についてまとめた冊子を発行しています。保護者の目線で、同じ保護者が少しでも学校と協力しやすくなるよう願いを込めた、実用的なものです。

気になった方はぜひ以下のリンクをご覧ください。

https://accommon.jp/data/schoolgleaf.pdf

 

 

 

ヘッダー画像は、灯さかす様に許可をいただき掲載させていただいております。

参照:灯さかす様のサイト(https://www.akarisakasu.com/

〜就学前のあの想い〜

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