9月23日(金・祝)20時から、オンラインで開催された<緊急研究会>国連はなぜ日本に特別支援教育中止を勧告したのかに、アコモンからも数名参加しました。
※文字ばかりだと分かりづらい人が多いので、あちこちのツイートをお借りしております。ご理解ください。
東京大学教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター主催のこの会は、国連も驚いた!日本の障害者ら100人が大挙してスイスへ「政府より私たちの声を聞いて」と必死の訴え 権利条約、改善勧告の中身はどうなる?のスイス民間訪問団をバックアップされた東洋大学人間科学総合研究所客員研究員の一木玲子先生と、この訪問で通訳やロビイング活動などをされた東京大学大学院教育学研究科研究生の佐藤雄哉さんを講師に、これまでの経緯やインクルーシブというものについての説明と、質疑という形で行われました。
障害者団体に区分されるであろうアコモンですが、上のニュースが流れてきたときは、日本の障害者ら100人が渡航した!?ことも知らず、どんな人たちがどんな目的で、何を伝えてきたんだろう?と、内心ヒヤヒヤしていました。
そして国連からの勧告。
えっ?特別支援学校や特別支援学級を必要としている人もいるのに、いきなり無くせって言ってるの!?と、とても混乱しました。
文科省はすぐさま分離教育の中止を否定します。今年度始めの、支援級に在籍する子は半分以上支援級で過ごさなければならないという4.27通知のこともあり、政府はインクルーシブに逆行しているのでは?という不安もふつふつ。
そういう疑問や不安がたくさん飛び交っていたためか、緊急研究会は募集枠を3000人に増やしての開催でした。
これまでの経緯のお話
まずは一木先生から、これまでの経緯についてご説明がありました。
日本は2014年に国連の障害者権利条約に批准していて、コロナ禍の影響もあり今回が初めての審査であったこと。審査は、日本政府による自己点検と障害者団体など市民社会団体によるパラレルレポートを元に建設的対話を行って、総括所見というものが出されること。レポートだけでは現状を伝えきれないと、団体積立金やクラウドファンディングを行ってスイス訪問をし、直接委員に話を聞いてもらったこと。
建設的対話については、NHKの説明図が分かりやすかったということで引用されていました。
国連における建設的対話の様子は、DPI 日本会議さんのページにアーカイブへのリンクがあります。経緯についてももっと詳しく書かれています。
インクルーシブということについても説明がありました
インクルーシブというのは、障害者だけでなく、セクシャルマイノリティの人や外国人、貧困、ヤングケアラーなどなど多様な人たちが、誰も排除されることなく必要な支援を得られること。
情報へのアクセスは、手話や通訳、点字、読み上げだけでなく、EASY READ(と仰っていたような…。知的障害の人にも理解しやすい形にした絵本のようなもの)のような形もあって、誰もが一緒に参加できること。(国連の障害者権利委員の中には、様々な障害を持った方がいらっしゃり、知的障害の方もいらっしゃいました。)
過度な競争主義があることで、上のような人たちだけでなく、多くの子どもたちが生きづらさを感じていて、それが不登校児童生徒数の増加にも表れていること。
分離教育をすることで、障害者や社会的弱者が劣った存在のように思われ、津久井やまゆり園のような事件が起こってしまうこと。
埼玉福祉会さんのLLブックというのも、誰にとっても分かりやすいようにと作られたものですね。
このほか
今回のお話は、国連からの総括所見の教育の部分でした。
日本語訳がこちらにあります。
このほか、精神科の強制入院の廃止を求めるなど、いろいろあるようです。
総括所見全体(英語)はこちら。
お話の後には、「自ら支援学校を選択している人たちもいます」という意見があったり、「子どもの時には特別支援教育があるが、大人になって特別支援社会というのはない」というお話があったり。
支援学校と通常学級の両方を経験した方は、通常学級に通えたのが良かったと仰っていました。なぜなら、卒業後に暮らすのは地域だからと。学校を卒業してからの人生の方が、ずっと長いですもんね。
それぞれの立場や考え方があり難しいですが、間違いないのは今の日本社会は生きづらいということ。
そしてこの取り組みは、みんなにとって生きやすい社会を作るためのものであるということだと思いました。
ニュースとして飛び込んできたときには、Nothing about us without us(私たちのことを私たち抜きに決めないで)と言いながら、「私たち」に自分たちが含まれていないようで辛く感じましたが、一緒に考えていきたいと思います。
多くの方に知っていただきたいです。