平成30年9月19日アイーナにて、日本眼鏡技術者協会認定眼鏡士、スマイルメガネ研究舎/ジョイビジョン岩手の鬼柳祥章氏をお招きして「家庭でできるビジョントレーニング」を開催致しました。保護者、支援者の方々が集まり、講師のご子息の実験台を見本に、実際にトレーニングを実践しながらの勉強会を行いました。
視力との関係が深い屈折異常として、近視、遠視、乱視があり、遠視、乱視を重点的に説明頂きました。遠視の場合、なかなか親が気付きにくく、近くが見えづらい、目の疲れなどが気になった場合、親が気付き配慮してあげることが必要です。乱視の場合、焦点が一つに定まらないため、「に」の文字でも左部分はよく見えるのに右部分は見えづらいなどの現象が起こります。学校での読み書きにも支障をきたすことになります。参加者の皆さんも1ミリ程度の文字が並んだ紙を40センチほど離して見えるか試してみました。見えるような見えないような…老眼は別として…簡単に乱視のチェックをしました。
両眼視機能といって、右眼と左眼の「両眼のチームワーク」で私たちは物を見ています。両眼視の基礎である同時視をチェックする為に棒を使っての実験をしてみました。棒を見つめ片眼を隠してみます。手に穴が開いて見えるでしょうか?昔こんな遊びをやったような。両眼の視線が目標に向かって交叉しているのであれば穴が開くはずですが、一眼の視線が目標とは別方向に向かっていると穴が開かない。斜視眼や斜位という状態です。斜位とは「斜位の量と、眼を寄せる(開く)余力とのバランス」に問題がある場合で、若い時は筋肉で余力を補っていますが、酷使すると疲労、頭痛、物が2つに見える、集中困難、眩しさなどの支障をきたすことになります。そこで簡易的な斜位のチェックをしてみましょう。小さなスプーンを使って右眼を軽く隠して左眼にさっと手を移動する。どっちの方向にスプーンが移動するか、どれ位移動するか?移動する方向、距離で斜位の度合いが分かるとのこと。授業中に教科書が読みづらく首をかしげていたりすると斜位が疑われるかもしれません。子供たちの様子を一番チェックできる先生に確認してみるとよさそうです。
眼を寄せる(開く)余力を鍛えるビジョントレーニングを多数ご紹介頂きました。ブロックストリングトレーニングという紐にビーズを何個か通したものを両眼の真ん中から伸びるようにし、どこで紐が交差するかチェックし、ビーズからビーズへ眼を移動したり、滑らかに視線を動かしてみたり、というトレーニングを向かい合った人と2人で実践しました。交差する場所が違かったり、ビーズの見え方が違かったり、人それぞれの見え方があることを学びました。
他にも眼球運動、滑動性追従運動、衝動性眼球運動をご紹介頂きました。中にはアナログゲーム療育講座にも登場したゲームもありました。指先や頭を使うのはもちろん、全身を使っての運動もあり、ビジョントレーニングだけではなく療育にもつながっているのだな、と思いました。
余力の無さで子供の本来の力が発揮できず、疲れやすい、集中力がない等の原因が見え方にあるとしたら、原因を知らないでいるのはなんてもったいないことだろうと感じました。原因を突き止めトレーニングで強化して親子で楽しくよりよい生活につなげていければ理想的ですね。