「いいこと8割、要求2割」
娘が不登園になったときに主治医の先生に言われた言葉です。

マラソン大会の練習で後ろから押されて転んで以来、
一斉に皆とスタートするのが怖くなってしまった娘。
もともと集団の無秩序な動きに嫌悪感のあった娘で、
都度担任の先生には伝えていたのですが・・・
年中の12月のある日、迎えに来てほしいと連絡を受け、
園に近付くと泣き叫ぶ声がしたので職員室に駆け込むと、
奥で我を忘れて失禁もしている娘が押さえられていました。
今でもあの光景を忘れることはできません。
それがとどめとなって幼稚園に行けなくなったしまったことから
小児心療内科への受診が始まりました。

伝えていたのに強制を続けてしまった。
娘は大きく傷ついて、園に行くことができなくなったしまった。
込み上げる感情はあったけれど、娘のケアが最優先なので、
主治医の指導に従うことにまず集中しました。

主治医の指示は、
「幼稚園には行かなくても大丈夫なのだと娘に伝えること」
「できるだけ毎日楽しく過ごせるようにすること」
だったので、
「今日は何したい?」「どこか行きたい?」でスタートし、
映画を見たり、好きなものを食べに行ったり、何か作ったりetc.
娘と安心して楽しく過ごせるように工夫しました。
また、「本人が行くと言うまで園からも連絡をしないでください」と
お願いするよう言われたので、その通りに伝えました。

何度かカウンセリングを受け、少し気持ちも落ち着いてくると、
園に復帰する時の具体的なアドバイスが始まりました。
そのキーワードが
「いいこと8割、要求2割」
言いたいことはたくさんあっても、押さえて少しだけにして、
まずは感謝を十分に伝えるというのが先生の指導です。
先生であれ、子どもであれ、夫であれ、姑であれ、
このスタンスが一番うまくいくのだと言われました。

「『このまま行けなくなるんじゃないかしら』と不安でしょうが、
幼稚園のことを口にしなくても、心が十分に充電できたら
自分から行くといいますから」
という主治医の言葉通りに「年長になったら行く」と
娘は言い出し、わたしの先生への信頼は揺らぎないものに
なっていましたので、そのスタンスでやっていくことにしました。

まずは、娘を心配してくれたこと、登園を待ってくれたことへの
感謝を丁重に伝え、年長の始業式に行く予定であること、
もし無理なら行ける時までまた待ってほしいことを伝えました。
園長先生が、「対応に不十分な点があったと思うので、
色々と教えてください。できるだけの対応をします。」
とおっしゃいました。
娘には、始業式にもし行けるようになっていなくても大丈夫だから
と伝えていたのですが、言葉通りに始業式から復帰。

娘には
「無理なことは無理だと言っていい」
「園長先生は分かってくれたので、無理強いは絶対しない」
園長先生には、対応いただけることへの感謝を丁重に伝えて
「無理強いをしないこと」をお願いしました。

実はPTAの間では、保護者の言い分を全く聞いてくれないとの
悪評が高かった園長先生。
その後も「ああ言われた」「こう言われた」とのママたちの話が
後を絶つことはありませんでしたが、
娘への対応はしっかりしてくれました。
年長の担任の先生もとても協力的で、娘のお泊り保育の準備で
わたしが用意した視覚支援のスケジュールを拡大して
全員用の準備と当日の進行に使用してくれたり、
娘が嫌なことがあると、何が嫌なのかを親身に聞いてくれました。
おかげさまで、運動会や発表会まで無事に参加し卒園♪
小学校への就学にもご協力いただき、卒園後も遊びに行きました。

並行して、息子に関わる先生方ともいいお付き合いを
させていただきました。
中学校への準備として、息子の主治医の先生と校長先生、
担任の先生、通級の先生が、ミーティングをしてくださり、
母であるわたしに的確なアドバイスをくれました。
夫の仕事の都合で進学後すぐに引っ越し、転校となりましたが、
その際にも様々なご協力をいただきました。
今の学校でも、娘、息子共々、様々な配慮をいただいています。
*転校前後のことを書いた過去記事はこちら→

わたしも、お世話になっている学校に少しでも役に立てればと、
PTAの仕事はもちろん、他の困っている子どもや保護者への
働きかけをしています。

人としてはごくごく当たり前のことですが、
笑顔を向けられれば笑顔
不機嫌な顔を向けられれば不愛想に 対応してしまいがちです。

親子間、夫婦間、学校との間がギシギシしてしまっている方は、
振り返ってみてください。
要求の方が大きくなっていませんか?
わたしが上手くいっていない時はそうでした。

気持ちを落ち着けて、眉間のしわを伸ばして、
目指すもののために、
「いいこと8割、要求2割」を試していただけたらと思います。
(宗教ではないので、無理に勧誘はしません。)

いいこと8割、要求2割

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いいこと8割、要求2割” への2件のフィードバック

  1. Happy.yt25さん
    「求めない」という詩集があるのですね。
    ついつい要求はエスカレートしがちですよね。
    相手に望むというのは危険ですね。
    不満につながるので、常に足りないという減点法ですものね。
    あるものに感謝すれば、加点法になり満足や幸福感につながり、それがまた原動力になるのでしょうね。
    ほんと、欲深くならないようにしたいです。

  2. うちの息子もありました。学校は要求される事ばかり。我慢も限界になった小学2年のある日、学校から帰るなり「宿題しときや」の私の一言に大噴火。僕なりに頑張っている事も認められず、あれやこれやと次から次と要求ばっかり、もぉ~学校もお母さんもと・・・大号泣

    緊張の学校から家に帰ってもリラックスさせてあげられていなかったと反省。翌日より学校を休めせました。目つきも鋭く、私にも心を開いてくれていないような状態で、まずは私との信頼関係を築き、息子のスピードで生活リズムを一緒に考えようと過ごしました。

    学校のスピードで勉強をするのは苦手でも、学びたい気持ちは十分あり、理科と体育でカメラをもって散歩をしながら植物園に植物観察、家庭科と給食で昼ごはんを作って食べる、算数国語をドリルと時間割を自分で考え不登校時期の2、3ヶ月を過ごしました。

    調子がいいと、ついつい子供のテンポも忘れ、あれもこれもと要求し調子を狂わせていたんですね親の私が。

    『求めない』という詩集があります。
    子供に対してだけでなく、全てのものに欲深くならぬよう
    日々を過ごしたいものです。

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